新規事業実務
新規事業の「進む・止める」を点数と基準で決める方法
新規事業の判断基準を、点数と基準で説明できる形に。魅力度と自社への適合度の2軸、基準を先に決める手順、撤退基準の置き方を、実例とともに解説します。
(更新: )
新規事業を「進めるか、止めるか」は、担当者の熱意や、役員の好みで決まってしまうことがあります。熱意で進んだ事業は、止めどきを見失い、好みで止まった事業は、機会を逃します。この記事では、判断を「点数と基準」で説明できる形にする方法を整理します。
判断が属人化すると起きること
- 評価する人が替わると、同じ事業でも結論が変わる
- 「なぜ止めるのか」を説明できず、撤退が遅れる
- 稟議で「判断の根拠は?」と問われて、答えが「担当の感触」になる
先に基準を決める
最初に決めるべきなのは、点数そのものではなく、何を、どの基準で見るかです。基準を後から決めると、結論に合わせて点数を調整してしまいます。
判断の基準は、大きく2つの軸に分けると整理できます。
- 事業の魅力度:市場から見て、その事業が魅力的か(市場の利益・成長率・競合・リスクの分散・業界の再構築・社会状況など)
- 自社への適合度:自社が、その事業を実行できるか(資金力・マーケティング力・技術力・調達力・推進力など)
魅力的な市場でも、自社に実行力がなければ勝てません。実行力があっても、市場が小さければ報われません。2つの軸を掛け合わせて見ることが、判断のブレを減らします。
点数の付け方の注意
- 根拠を一言で残す:点数だけでなく、なぜその点数かを一言で書く
- 甘く付けない:魅力度を甘く付けると、合計の点数が過大になる。悪い点も、正直に付ける
- 点数は目安にする:点数で自動的に決めるのではなく、議論の材料にする
- 撤退の基準を、承認の前に決める:「この点数を下回ったら止める」を、事前に合意する
Startups with AIでの例
Startups with AIでは、事業の魅力度(60点満点)と、自社への適合度=適社度(60点満点)を、決まった軸で採点し、合計の事業度(120点満点)で判断の目安を示します。
- 魅力度(第9章):市場の利益・成長率・競合・リスク分散・業界の再構築・社会状況の6つの軸
- 適社度(第10章または第11章b):独立起業は、資金力・マーケティング力・製造力・技術力・調達力・推進力の6つの軸。社内起業は、既存事業とのシナジーや実行体制の観点を含む
事業度の目安は、80点以上が事業開始、65点以上80点未満が再検討、65点未満が中止・再考です。点数は目安で、最終判断はあなたです。ビジネスモデルキャンバスの評価は、10要素の平均点で、A(90点以上)、B(80〜89点)、C(50〜79点)、F(50点未満)のランクで示します。
チェックリスト
- 見る軸と、基準を、点数を付ける前に決めた
- 点数ごとに、根拠を一言で残した
- 悪い点を、避けずに付けた
- 「止める」基準を、承認の前に合意した
- 点数は目安として扱い、最終判断を、人が行う
まとめ
- 判断は、魅力度と自社への適合度の、2つの軸で見る
- 基準は先に決め、根拠を残す
- 点数は目安で、最終判断は人が行う